英語資格試験英文解釈6

英検1級2022年第2回からの引用です。解釈の難易度としては決して高くないと思います。

Furthermore, had Jupiter not made its migration, planets in the inner solar system, which includes the area where Earth is now, could very well have become larger, uninhabitable worlds shrouded by gas.

(前提)ここでのmigrationはこの文が含まれる文の前の段落で、木星がもともと違う場所で形成され、それが移動するという仮説を説明しているため使われていることばです。

この文に含まれる文法ポイントは今回は3つです。1つずつ見ていきましょう。

  1. 仮定法の倒置

英検では実はよく出てくる形です。文頭のFurthermoreの後がhadから始まっており、文末に「?」がないことから、hadの倒置が疑われます。さらに読み進めていくと助動詞の過去couldがありますから、仮定法であることがわかり、hadが倒置されていることがわかります。

仮定法ではifを含む条件節はifが省略されることがよくあり、この場合倒置により条件節は疑問文の語順になります。したがって元の文は

if Jupiter had not made its migration, …

となります。

英検1級では設問の選択肢でもこのhadの倒置の仮定法は頻出していますので、英検1級の問題になれている人はすぐに気が付けるはずです。

2. 関係詞節内の関係詞

planets in the inner solar system, which includes the area where Earth is now, …

この文のwhichは直前のsolar systemを説明している関係代名詞、whereは直前のareaを説明している関係副詞になっています。whichの節が長くはなっていないので気づきやすいとは思いますが、英検1級では複数の節を使うことで文が長くなることが少なくないので、こういった点に気を付けながら読み進める必要があります。

3. 形容詞をつなぐカンマ

解釈には影響しませんが、ライティングなどでは意識して使いたい事項になります。

become larger, uninhabitable worlds shrouded by gas.

この文においてのカンマはandの意味のカンマです。2種類以上の形容詞をつなぐ場合、andでなくカンマでつなぐことがありますが、これは「違う」種類の形容詞をつなぐ場合です。たとえば次の例を見てください。

a yellow and blue shirt 「黄色と青のシャツ」

この場合、黄色と青は「色」という観点で同じ種類の形容詞です。このような場合にはandでつなぎますが、今回の文の例では、large「大きい」とuninhabitable「住めない」なので観点の違うものにっていますから、カンマでつながっています。

これらを踏まえると以下のような訳になります。

「さらに、木星が移動していなかったら、地球が今ある場所を含む内太陽系の惑星は、ガスで包まれたもっと大きくて人が住めない場所になっていた可能性が十分にある」