【英検準1級】試験内容、難易度について

 

最近は大学入試の改革も影響し、英検を受ける人が増えていると思います。その中でも以前にも増して準1級の需要が増えているのではないでしょうか。というのも、大学入試の4技能試験は一旦延期になったものの、多くの大学で英検を利用した受験はなくなっておらず、特に準1級を取っておくと、2級よりも大きなメリットを得られるケースも少なくないため、高校生の受験も増えています。実際書店に行くと昨年あたりから準1級の対策本も急増しており、これからますます準1級の受験者は増えると思われます。

そこでこのページでは英検準1級について、試験内容や難易度から、勉強方法、おすすめの参考書などをご紹介していきます。

英検準1級 試験内容

設問ごとに見ていきましょう。

Reading 大問1

語彙問題です。英検1級もそうですが、一般的にはここが最難関といわれています。25問出題されますが、21問が単語、4問が熟語の問題です。2級までのように文法問題は出題されません。

Reading 大問2

長文(250語程度)の空所補充問題です。1つの文章に3問ありで、それが2つ出題されます。(計6問)

Reading 大問3

長文の内容一致選択の問題です。文章は3つ。300語程度の文章に問題が3問、400語程度の文章に3問、500語程度の文章に4問で計10問出題されます。

Writing

与えられたテーマについて、120~150語の文章を書きます。テーマは社会問題や科学技術など様々で、多くは賛成か反対かを書く問題です。理由を2つ書かなければいけせん。ただし、準1級ではどの視点で書けばよいかが明示されているので、何を書けばよいかということで困ることは少ないと思います。

Listening Part1

会話の内容について一致するものを選ぶ問題です。12問出題されます。

Listening Part2

150語程度の文章を聞き、その内容について一致するものを選ぶ問題で、12問出題されます。放送される文章は環境問題や歴史、科学についてのもので、普段リーディングで読むような難しい内容が放送されます。リスニングはリーディングより易しい文章になるというイメージを持っている人も多いと思いますが、ここは容赦なく難しい文章が出てきます。リスニングではここが間違いなく一番難しいです。英検準1級全体の中でもこのPartをクリアできるかが合格のカギを握っているといっても過言ではないでしょう。

Listening Part3

「Real-Life形式」と呼ばれる問題で、あらかじめ印字された「situation」を読んで、その後放送された英文に合うものを選択する問題です。5問出題されます。

Real‐Life形式の問題は例えば以下のような問題です。

(H16第2回より)※選択肢は省略

situation:You are a new overseas student at a Canadian university.You want to get a part-time job as soon as possible. Your adviser gives you the following information.

Question:What should you do for the time being?

このように、実生活における状況をあらかじめ読んで、実際に放送される英文では、あなたがこうならこうすべし、という案内が流れてきます。印字されている状況とは違う状況も流れてくるため、良く聞き取る必要があります。

Speaking(2次試験、面接)

通常の英検では1次試験を合格した場合に、2次試験でスピーキング力が問われます。(最近は1日で受けられる、CBT形式もあります)

約8分間、面接官との1対1の面接です。まずは簡単な会話をしたあとカードを渡されますので、1分間考える時間を与えられた後、4コマのイラスト内容を英語で2分間ナレーションをします。その後4問の質問に答えるのが大まかな流れです。

準1級の難易度について

英検協会から提示されている準1級のレベルは

大学中級程度

です。とはいえ、これだとピンとこない人も多いと思いますので、他の級や身近な試験で比較をしていきましょう。

まず英検3級です。これは中学3年生までの内容です。ただし、英語の得意な人は中2の冬に合格するケースも多いです。というのも、英検は低い級は文法問題も出題されますが、3級で中3の内容が多く出題されることはないので、合格点を取るだけなら中学2年生の内容までわかっていれば十分だからです。小学校から英語をやっていたという子なら中1で合格することも十分可能です。

英検準2級も、高1内容までの出題ですが、中3までの内容がわかっていれば十分に合格できます。英語の得意な中3生が秋に受験すれば十分合格できる程度の難易度です。3級と準2級はあまり難易度の差は感じられませんが、単語を少し多く覚える必要があるでしょう。

さて、ここから級が上がるごとに壁がどんどん高くなってきます。

英検2級は高校生3年生までの内容です。高校生ならセンター試験で換算するとイメージがわきやすいかもしれませんが、だいたい120~140点くらいです。英語の得意な高校生なら高2の秋ごろで取得はできるとは思いますが、中学生が2級を取るというのはなかなか大変でしょう。高校生で習う文法が長文にも出てきますので、準2級と2級の壁は結構厚いように思います。ただ一方で海外に住んでいたことのある小学生なら2級はあっさり受かるというレベルでもあります。なぜならメールの文章を読み取る問題が出てきたりするなど、比較的日常で使う言葉がまだまだ多いからです。

長くなりましたが、この流れでの準1級です。2級でいう、センター120~140点程度というのは、平均点をやや超えている程度ですから、準1級には高3の英語がある程度わかっているというのでは足りないレベルです。ただし、基本英文法というのは高校生までで英語全体の9割以上は習っているといわれていますし、準1級にはそもそも文法問題は出ません。ですから英検準1級を難しくしているものは、はっきり言って

語彙力

です。

ここでいう語彙力は、まずそもそも量が必要です。準1級に合格するために必要な語彙数は7000~9000程度といわれています。2級が4000~5000程度ですので、さらに単語帳1冊~2冊を覚えないといけないイメージです。

それともう一つ難しいのは言葉そのものが難しくなります。準1級は日常的な内容よりも、科学や歴史、社会問題などを扱うので、そもそも子どもには内容がが難しいのです。2級で海外に住んでいた子の話を書きましたが、準1級になるとこうした理由で合格率が下がります。

ですから、2級と準1級には大きな壁がそびえたちます。一般の大学生が受験しても一回で合格するのは至難の業です。

日本では中学・高校の英語教師には準1級程度の英語力を求められていますが、実際には準1級を取得できている先生は高校で半分程度、中学では3割程度だそうです。こうしたことからもその難易度がわかってくると思います。

※ただし、受けていないだけで準1級程度の英語力を備えている先生は多くいらっしゃると思います。

準1級レベルだとTOEICとの比較もイメージがわくと思います。大まかな目安でいえばTOEICで800点前後が準1級合格の目安になると思います。私は準1級に合格した同時期のTOEICで785点でした。

なお、TOEICはMARCHレベルの大学生が受験して600~700点くらいです。ですので、準1級は大学受験でいうとこれらの大学よりは難しいかもしれません。ですが、はじめにも書いたように現在は準1級を持っていると一部の大学では相当受験で有利になってきています。中には英語を満点扱いにするという学校もあるくらいです。入試で満点を取るのと準1級を取るのでは考えようによっては準1級のほうが簡単ではないでしょうか。入試の緊張状態で満点というのはなかなかのものですよね。ただ、そのくらい英検準1級には価値があるということは言えるでしょう。

ちなみに、早稲田大学の国際教養学部は英検準1級を持っていると入試で10点加点されますが、2級だと5点の加点です。ただしこの学部は英語で授業が行われるような学部で、さらに上のレベルの生徒も受験します。1級で15点の加点ですが、これを使う受験生が必ずいます。もし準1級の加点がないと10点の差が開いてしまうので(さすがに早稲田であれば2級の5点の加点を使えない生徒は合格できません)、この学部を受ける多くの受験生が準1級に合格してこの学部の合格を目指すことになります。ですから、英検準1級はこのあたりの大学のレベルということが言えるでしょう。

 

いかがでしょうか。これから準1級を目指す際にどの程度まで英語力を引き上げるべきかということをイメージしてもらえるようにいろいろ情報を書かせていただきました。長くはなりましたが、少なくともいえるのは、準1級合格はそれなりに高い壁ということです。おそらく英語が得意な人ばかりがいるという特殊な環境でなければ取得者はそんなにたくさんいないと思います。合格率は大体平均して15%程度ですので、それなりに英語力のアピールにも使えますし、取得する価値は大いにあると思いますので、ぜひ準1級にチャレンジしてみてください。

別のページで、具体的な勉強方法やおすすめの参考書をご紹介します。

※途中で、大学入試との比較を書きましたが、検定と大学入試は測っているものが違うので一概にはこちらが難しいというのは言えません。単語レベルは検定が上でも、大学入試では、英作文や和訳、要約なども出るため、そちらのほうが難しく感じるということもあると思います。あくまで難易度の目安として参考にしてくださればと思います。

 

単語学習の大切さと英単語の覚え方 ~時間をかけずに回数で勝負!

TOEICにしろ英検にしろ、語彙を直接問われる問題が登場します。特に英検では一番始めは語彙だけを問われるパートがあり、準1級や1級でいえば、文法問題すらなく、語彙と熟語だけで25問出題されます。ここで20問以上取れれば大きく合格に近づきますから、しっかりと対策をして臨みたいものです。TOEICでは語彙問題自体はそこまでたくさんありませんが、そもそもあれだけの量の英文を短時間で読まなければいけないわけですから、語彙力はかなりの武器になります。ですから、単語学習は資格・検定学習においては欠かせない学習になるわけです。

しかし、単語だけを覚えるのは苦手という人も少なくないと思います。正直英語が苦手という人のほぼ多くの原因は、

単語の勉強を怠っている

これにつきます。言い換えれば、

英語が苦手なのではなく、単語暗記が苦手

ということです。実は私がそうでした。中学までは文法力で乗り切ってきましたが、高校生になり語彙が膨大になり、暗記をさぼったために英語が得意ということができなくなってしまいました。

しかし、単語暗記が得意になった今、TOEICの点が取れるようになっただけでなく(私の得点はこちらをご確認ください)、大学入試のセンター試験の問題でも9割は取れます。

ですから、英語苦手克服のカギは、

単語暗記をできるようにする!

といえると思います。そこで、ここではおすすめの単語暗記の仕方(スケジュールや1日の分量等)をご紹介します。

 

 

おすすめ単語暗記法

単語暗記を進める際に考えるべきは以下の内容になると思います。

  • 1日の分量
  • 暗記にかける時間
  • スケジュール

基本的に、一つの単語について日本語の意味を2秒以内に言えるようにする、ということを前提にこれらを考えていきます。1つ1つあげていきます。

1日の分量

英語が苦手な人ですとついつい10個とか20個とか刻みたくなると思いますが、大学生以上の方であれば今後のことを考えて100語としてみてください。後程時間についてご説明しますが、100語を1時間とかかける必要はありませんので、ここは思い切ってみましょう。

暗記にかける時間

上記の100語を目安20分位で終わらせます。単語帳は1ページに10個などとわかれて掲載されているはずなので、基本的には1ページをしっかり覚えて、覚えたらすぐに次に行きます。意味が複数あるものははじめは1つ言えれば十分です。あまり重く考えずにどんどんと進んでしまいます。少し進んだら戻ってみると定着しやすいですが、1日に時間をかけすぎると後が続かないので、ほどほどで済ませてしまいます。

スケジュール

ここが大切です。実はこの暗記方法は、

1回の暗記に多くの時間をかけない分、繰り返しの回数を増やすことによって記憶を定着させていきます。

ですから、なるべく早く2回目に入る必要があります。そこでもう一つ重要になってくるのが「ブロック分け」です。

単語帳は1000語、2000語などと掲載されていますが、これをいくつかの「ブロック」に分ける必要があります。というのも、仮に1000語掲載の単語帳を使うとしますと、英単語暗記が苦手な状態ですと1000語を一気にやるより、例えば500語を固めてから次の500語というようにした方が暗記がしやすいからです。そしてこの500語を毎日100語ずつ覚えて繰り返していきます。1000語を一度にやると次に同じ単語をやるのは11日後ですが、500語の周期にすれば6日後で、300語の周期にすれば4日後ということになります。

100語を毎日やって覚えてから次に行くのでもよいのですが、ここは今後大量の単語を覚えられるようにするために、300語周期や500語周期にしてもよいと思います。仮に500語とすると、500語周期で2~3回回すとだんだん覚えてきますので、1日に扱える単語が増えてきます。200語を20分で回せるようになってくれば、500語が3日周期になりますし、やがて2日で回せるようになってきます。ある程度入ってきたら次の500語をまた同じようになるとよいでしょう。暗記が苦手な方なら300語周期でもよいと思います。

これが基本的な進め方ですが、やっていくうちに、何度やっても覚えられない単語が出てきます。ですから、単語帳に、意味がすぐに言えない単語に×印などをつけていくことをお勧めします。間違えるたびに×を増やす方が単語暗記にメリハリがついてより覚えやすくなります。

それでも覚えられない単語が必ず出てきます。×が10個付くということも少なくありませんが、これらは途中これらの身を集中して覚えてみてください。ここまでで通過してきた単語はほぼ入っていますから何日かやらなくても抜けにくくなります。×のある単語のみを集中して覚える時期を作るとより完璧になります。このとき、それらを別のノートに書き写してもよいと思います。

慣れてくれば、1日500個の単語を見ることもできるようになります。語彙力が上がってくると新しい単語帳を買っても連続して100個知らない単語ということは減ってくるので、ペースはどんどん上げられます。

覚えたものをより定着させるために

単語だけの暗記はどうしても忘れやすくなります。特にはじめのうちはなかなか定着せず順調にはいきませんでした。そこで大切なのが、

英語に触れる機会を増やす

ことです。これは自分の実感ですが、覚えた単語がほかのところで出てくると、その単語が定着しやすいです。

たとえば、consequentlyという単語がありますが、ある日NHKのラジオ講座(実践ビジネス英語)で解説されていたのをきいて、その日以降忘れなくなりました。ちなみに、consequentlyは「その結果として」という意味です。

また、別のページで紹介した語彙問題の対策問題集(こちらのページで触れています)を使って文の中での使い方を覚えることも定着につながります。

あと意外と盲点なのが、新しい単語帳を使うことです。むやみやたらにいろいろ手を出すべきではありませんが、8割くらい覚えたら次の単語帳に進むのもありです。というのも、重要語であれば同じ難易度の単語帳であればだいたい載っていますから、次の単語帳で前の単語帳にのっていたものに出会うと割と覚えられることがあります。

こうした形でとにかくいろいろな形で英語に触れるようにすることが大切です。

 

正直単語暗記の方法は様々あると思います。上記はあくまで私の方法ですので、いろいろアレンジしながらご自分に合うやり方を見つけて単語暗記を克服してみてください。単語力が一気に上がると目に見えて得点が上がるので、英語の学習そのものが楽しくなります。ぜひ頑張ってみてください。